曲のタイトルと真逆の「新宿は豪雨」という歌詞、そんなキャッチーなフレーズから始まる曲がある。東京事変の「群青日和」だ。群青は、深く鮮やかな青。なのに、新宿には大量の雨が降っている。鮮やかだとは決して言えない。なぜ新宿は豪雨なのか。
新宿は豪雨で、青く冷えていく東京。この曲は、そもそも椎名林檎が東京事変結成との前後の自分自身を表していると考えられているが、リリース当時2004年の若者の気持ちも少し込められているのではないかと思う。
「演技をしているんだ あなただってきっとそうさ 当事者を回避している」という歌詞。これはありのままの自分を曝け出せない現代の特に日本人の若者そのものだと私は感じる。当事者を回避するために、本来の自分ではなく周りに合わせる。これは私の2000年代の若者の偏見かもしれないが、当時就職氷河期にぶちあたっていた若者たちにとって自分がありのままの自分だと証明できるような場所があったのだろうか。「興味が湧いたって 据え膳の完成を待って なんとも思わないふりで笑う」というこの歌詞からも冷たさを感じる。
なぜ、晴れ渡った群青日和ではないのか。もしかして、その時から未来の予測ができないゲリラ豪雨があったのかもしれない。