秋の脳内劇場の再上映

みなさんは、何故「読書の秋」と言われるか、ご存知でしょうか?

過ごしやすい気候で集中しやすく、夜も長くなる秋に読書を楽しむのが最適であるという意味からだそうです。僕は夏の暑い日には冷房をつけ、冬の寒い日には暖房をつけることにより春夏秋冬いつでも過ごしやすいと感じており、春や秋といった季節の変わり目は体調が悪くなりがちで、「読書の秋」の言とは逆に比較的過ごしづらく感じております。

そんな僕は小説を読むのが趣味で、年がら年中暇さえあれば本を読んで過ごしています。なので当然、秋にも本を読んでいますが殊更「読書の秋」と強調するべきだと感じません。しかし思い返せば、僕の秋に読む本にはある偏りがあることに気付きました。それは一度読んだ本を読みなおすことです。この偏りの原因は先ほど挙げた、秋は体調を崩しやすいことに由来します。

僕にとって小説を読むという行為は、脳内で小説を台本とした劇を作るようなものです。秋は完全に風邪を引かずとも調子が悪い状態が続き、読んだことのない小説だと内容が頭に入ってきません。結果、読んだ内容を右から左に聞き流すように、脳内で小説劇場を作れないような状況に陥ります。その点読んだことのある小説だと読みなおす、というより以前脳内で作った小説劇場を思い出すような感じで、小説を楽しめます。つまり一から舞台装置や小道具を作るより、今ある舞台装置や小道具を使った再上映の方がかける労力やコストが少ないというわけです。

皆さんも夏バテの抜けきらないこの季節一度読んだ小説を読み直して過ごしてみては、どうでしょうか?


以前の記事で「本を読むこと」についてのコラムも編集部それぞれで書いているのでぜひ、そちらも読んでみてください。