#2「夜勤工場-パワハラ編-」

さて、前回のバイト放浪記は「夜勤工場バイト」に挑戦した初日。とても痛い目に遭い、2度とこの工場では働かないと強く誓ったところで終了した。

私は次の日も普通に出勤した。

そして出勤し続け半月が過ぎた頃、私の帽子にあった「初心者マーク」は外れていて気付けば「パンの戦士」のオーラが背中に宿り、爪の間はパン臭くなっていた。

そして毎日会う受付のお兄さんとも面識ができてきたある日、普段はほとんど会話がないお兄さんがにこやかに話しかけてきた。

「〇〇さん、今日は『製品管理課』行ってみませんか?」

なぜ疑問系なのか。俺たちはパンよりヒエラルキーが低いのだから絶対従うのに、と考えていたらお兄さんは続けて話した

「眞鍋さんは若くて体力あると思うし、いっぱい来てくれるからそういった方に行ってほしい部署なんですよー」というわけで俺は『製品管理課』に所属した。

言われた通り製品管理課の事務所に向かうと、今までとは違うオーラを感じた。皆圧倒的に目が死んでいる。具体的には黒目の色素が薄く、白目の部分が茶色に濁っている。喫煙スペースが休憩所にあり、タバコを吸いながらスマホを眺める人で溢れていた。ちなみにスマホは持ち込み禁止だ。

案内され場所は室温−2~6°の冷凍品を扱う倉庫。そこで俺は冷凍食品が入っていた段ボールを崩し続ける業務を行なった。最初は緊張や興奮で高まっていた体温だが徐々に落ち着き始めた頃に、俺は寒いことに気がついた。「つらいなあ」とかではなく「死ぬ」が先に来くる寒さ。ここであと12時間すごすのかと実感した時、全ての希望が消えた。

そこからぼんやりと映る視界の中働いていると、ふと背中に違和感を感じた。「熱い…」と思い意識を戻すと、パンチングをされていることに気づいた。

そう、俺は知らないおじさんに背中をパンチングされていた。

これはどういった事なのだろう。おじさんは自分の仕事を行う傍ら、定期的に俺の背後に立ち何かを叫びながら背中へのパンチングをしてきた。絶妙な拳だ。

全くなぜわからないが、周りはまじで何も起こっていない感じで働いていたし、自分も意識が朦朧としていた事もあり何も考えず仕事をしてしまった。

そして休憩時間が訪れ、俺はトイレの個室に入り号泣した。

両親や友達、後輩など大切な人の顔が脳内に溢れ出ながら「俺はなんであんなじじいに背中をパンチングされているんだ」と至極当たり前の思いと、怒り悲しみ虚しさが込み上げて号泣した。

だが休憩が終わり冷凍室に戻るとまた意識を朦朧とさせながら仕事を行なった。

退勤後、俺は決心した。

本当に明日から行かない。

次回へ続く

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