今までのヒーロー作品とは一味違う

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、単なるアクション映画にとどまらず、キャラクターの内面まで描かれた感情のドラマが描かれた作品だ。注目すべきは、主人公ピーター・パーカーというキャラクターの「成長」の描かれ方。この作品では、ヒーローであることの代償、そして「大いなる力には大いなる責任が伴う」というスパイダーマンの根幹が、これまで以上に重く響いた。

シリーズを超えたキャラクターたちの登場は、単なる夢の共演にとどまらず、ピーター自身の葛藤や選択を際立たせる要素となっていた。彼らの存在が、物語に深みを加え、過去の作品の記憶とリンクするところがあり、もう一度過去の作品を見直したいと思うことが何度もあった。アクションやユーモアがありながら、それ以上に「出会い」と「喪失」がテーマとして強く描かれていた。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品としてのスケール感と、スパイダーマン個人の物語としての親密さ。その両方を両立させたこの作品は、スーパーヒーロー映画という枠を超えた、私のなかで記憶に残る一本になった。スパイダーマンシリーズ8作をぜひみてほしい。


作品名 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 
クレジット 監督 :ジョン・ワッツ 脚本:クリス・マッケナ
公開日 2022年1月7日
発売元 ソニー・ピクチャーズ