本が読める理由

僕は本を読むのが嫌いだった。しかし今はラノベを読むのが趣味である。

幼少期の読書体験はもっぱら図鑑の写真を眺めるもので、絵本は文字がほとんどないものばかりを読み、文字があれば絵本ですら嫌厭(けんえん)していた。

ただ学校でやっていた絵本の読み聞かせ会は、文字がいかに多くても好きだった。何故なら、読書とはいろいろなことを並列でやる行為でそれは幼少期の僕には難しく本の中身が頭に入ってこず、楽しくなかったからだ。

文章を読みながら「どんな登場人物が居て」「それぞれの登場人物を見分けて」「その中の誰が」「何(誰)に対して」「何を発言しながら」「どんな行動をした」か、を頭の中で思い浮かべて動かす。そこから「どんな人物か」「どんな考え持つか」や「誰にどんな感情を抱くか」などを読み取る。つまりページを捲りながながら頭の中で状況を整理し、そこからいろいろな事を理解する、やることも文字数も多い。

では何故、本を読むようになったか?

それはアニメーションの存在が大きい。

アニメーションなら映像で状況が整理されていて、そこからいろいろな事を理解するだけで、やることが少ないので物語を楽しめる。そしてアニメで見た作品の小説を読めばあら不思議。登場人物それぞれが、どんな見た目でどんな考えを持つキャラクターかのイメージが固まっているので、そのキャラクター達を頭の中で動かすだけで良いのでやることが少ない。

ここから徐々に本を読むという並列作業に慣れ親しみ、いつしかアニメの尺の都合でカットされたエピソードや小話、細かい描写やアニメで読み取れなかった部分などから、アニメより小説ばかりを読むようになった。

こうして僕というラノベ好きが形作られたのである。