「瞳をとじて」平井堅

2004年の4月28日、今から21年も前の話だ。「瞳をとじて」という楽曲を平井堅がリリースした。

20年以上経ちこの曲を今聴いてみると改めて平井堅というアーティストの凄さに気づく。まずはシンプルに曲を見た時に、感動系のバラードであり、落ち着いた中に少し暖かさがあるようなメロディと歌詞が書かれている。

特筆すべき点として、今の時代でも「古さ」という感覚をこの曲には感じないことだ。

その具体的な要因は平井堅の「歌い方」があると考える。

平井堅の歌い方の歌唱に対して自分が持つ印象を語ると、決して力強い声には聞こえない。歌の技術としての「がなり」や「声の張り」を感じることは少なく、むしろ高音域を歌唱する際は「裏声」を使っているのではないかと感じる。力強く歌うことで歌詞に「魂」を込めるアーティストはたくさんいるしカラオケでも常套手段だと思う。現代のアーティストで例を挙げるなら「優里」が該当すると思う。

それに対して力を込めているように感じない、平井堅の歌唱にも何故か感情が乗っているように聞こえる。もちろん歌詞自体が少し寂しいもので、その中に情熱を感じるものではあるのだが、この曲を歌う平井堅の歌唱はとにかく哀愁を感じ、「泣きそう」な歌声に聞こえるのだ。それでいて決して脱力しすぎではなく、むしろ聴いている自分にしっかりと語り掛けているような「熱」も感じる。

これは平井堅の独自のスタイルであり、その独自性が時代に縛られていないからこそ「古さ」を感じない要因の一つなのかと思う。


「瞳をとじて」

作詞作曲:平井堅

リリース日:2004年4月28日