ジブリ制作の映画『ゲド戦記』は、アーシュラ・K・ル=グウィンの小説『ゲド戦記』と宮崎駿の絵物語の『シュナの旅』を基に製作された作品である。そんな映画『ゲド戦記』は、内容の難解さや小説『ゲド戦記』との違い、ジブリらしくないという感想から賛否が分かれており、ジブリ作品の中では人気が分かれているので、見たことがない人や覚えていない人がほとんどであろう。

しかし私の映画『ゲド戦記』への印象は良いものとして残っています。が、同時に内容をほとんど覚えていなかったので、DVDを見返して何故好印象だったのか考えてみました。
理由は二つありました。まず、この作品を見たのが小学生高学年から中学生の頃だったので、竜や魔法の存在するファンタジックな世界観に心惹かれたことが一つ。作中で歌われた『テルーの唄』がとても良い曲で好みだったことがもう一つ。特に『テルーの唄』への印象は特によく残っており、DVD見返す前でかなり前に映画『ゲド戦記』を一度見たきりでも、しっかり覚えているくらいでした。

今回見返してみて改めて良い作品だなと思いました。改めて良いと思った点は、私が感じ取ったこの作品のテーマと、『テルーの唄』はやはり良い曲だということです。
私の考えるこの作品のテーマとは「均衡」と「生きる」です。何故そう感じ取ったかというと映画終盤、主人公アレンが「人はいずれ死ぬのがわかっていても命を大切にできるのか、終わりが来ることがわかっていてもそれでも生きて行かなければならないのか」という問いに対し、ヒロインのテルーが「いずれ死ぬことがわかっていているから命は大切」や「「死んでもいい」とか「永遠に死にたくない」とかどっちでも一緒、一つしかない命を生きるのを恐れているだけ」と応答していることからです。ここで作中、度々強調されてきた生と死や光と闇などの「均衡」というのは、両極端の関係ではなく表裏一体の関係であると理解すると同時に、「生と死は表裏一体であり、一度きりの生を恐れることなく生きてゆこう」というメッセージが込められた作品なのだと考えました。

皆さんも是非『テルーの唄』を聞いてみてください。