私は天空の城ラピュタをみて育ってきたと言っても過言ではない。
小さい頃から何度もみてきたラピュタだが、数年前英語の勉強がてらに海外版でみてみたことがある。
シータが飛行船から落下して飛行石が光を放った瞬間。なぜか違和感を覚えた。
石が光るシーンがなんか壮大すぎないか。いや、気のせいかもしれない。いやいや、今まで何度もみた映画だし、私がこの映画が好きな理由のひとつが曲であるにも関わらず、そんな違和感を覚えることがあろうか。

その違和感が明らかに正しいと感じたのが、あのラッパのシーン。最初は良かった、しかしすぐに明らかな異変に気づくのである。
なんだこのギターは…!!
パズーがトランペットを吹くところ。もちろんシータは起きていないし、周りに人がいる様子も見えない。そりゃパズーのソロ演奏となるはずだ。しかし、1フレーズが終わったところで聞こえてきたのはギターによる伴奏。ソロ演奏でない意味がわからなかった。それだけではなく、パズーが吹いているラッパの音は後にそのギターとの掛け合いになる。この音はパズーが吹いているものから映画のBGMとなっているのである。さらに最後転調をするのだかその転調は必要だったのか。

ここで、ふと思い出したことがある。我が家に先祖代々伝わる(親から譲り受けただけ)「天空の城ラピュタDVDコレクターズ・エディション」の中にUSAバージョンと書かれた何かが入っていた気がするということだった。壮大な箱を譲り受けて中身を確認していなかった私は、その時箱の中身をみて、出会ったのである──Castle in the sky 〜天空の城ラピュタUSAヴァージョンサウンドトラック〜 に。
そしてこの前大学の授業で、天空の城ラピュタの海外版はディズニーが監修を行なっていることを知った。その時に、ディズニーとしては、「映画に3分以上音楽がないと飽きてしまう」というジブリが持たない意見を持っていた。そのことによって曲もUSAヴァージョンのものができてしまったのである。ジブリは、久石譲は、曲が無であることを良さとしていたにも関わらず。
正直な感想、日本版の方が圧倒的好きではあるし、曲の有無による緩急がある方が良い。しかし、海外版の曲もそれはそれでとても面白いものとなっている。
また、天空の城ラピュタのCDにはもう一種類存在する。それはイメージアルバムである。このイメージアルバムに収録されている「ハトと少年」(ラッパのシーンの曲名)を聞くと、使われているメインの楽器はトランペットとギター。久石譲は日本版でパズーそのものに、海外版で宮崎駿から久石譲に伝えられたイメージに焦点を当てて曲を作ったのではないかと感じた。
日本版と海外版の2つの同じ作品を見比べてみるのも、三者三様のCDが存在する天空の城ラピュタのBGMを比べてみるのも大変面白いものとなっている。
最後に海外版の話とは離れてしまうが、天空の城ラピュタで有名な曲「君をのせて」にも、イメージソングがあることをご存じだろうか。その名も「君をつれて」。これは、映画公開から16年後、DVD版が発売されることをきっかけに作られた16年後のパズーからのアンサーソングである。こちらもかなり素敵なものとなっているのでぜひ聴いてみてほしい