現代社会における視覚的コミュニケーションは強制性と、視線がもたらす権力作用など、日常生活は「見ること」と「見られること」の双方向的な拘束によって構成されている。この横造は、メディア技術が単なる情報伝達の道具ではなく、身体や感覚を支配・規定する暴力装置として機能している現実を示している。本作は、こうした状況を批評的に抽出し、鑑賞という行為自体に内包する暴力性を顕在化させるために制作した。

本作は、「見ること」と「見られること」の関係性を構成するディスプレイ彫刻である。箱型の装置に取り付けられたディスプレイには、インターネット上から収集した「寝転び」の映像が展開される。鑑賞者はその内部に身を置きながら映像を体験し、その姿が会場入口のPCモニターを介して別の場所に映し出される。