2025 3Q 制作ノート 安部翔太


作成日:2025.12.05

作成者: 安部翔太


背景

1Qと2Qでは、私が納得できる卒業制作のテーマを決定することができなかった。3Qでは、習作を複数制作して、テーマを検討した。

テーマ

今期は、「違和感のある行為」をテーマに制作を進めた。私がこれまでに感じたことのある違和感を表現した作品と、体験者に違和感のある行為を強いる作品を合計五つ制作した。

実践内容

一つ目は、笑顔でないと使えないSNSだ。多くのSNSは笑っていなくても「笑」、「w」、「😆」と入力できてしまう。これは真顔で「ウケる」と言っているようなもので、不自然なコミュニケーションだ。また、SNSではネガティブな感情で溢れている。ネガティブな投稿は、見た人の感情もネガティブにする。私が制作したSNSは、この二つの課題を解決する。スマートフォンのインカメラと機械学習のモデルを使って、使用者の表情を取得し笑顔でないと画面を真っ暗にする。

二つ目は、上手く撮れないカメラだ。iOSには、画像の美しさを判定する機械学習のモデルが搭載されている。私が制作したカメラアプリは、iOSが判定する美しさのスコアが一定よりも低くないと撮影できないようにしている。平均的な写真から逸脱した写真を撮影することを使用者に強制することで、新しい写真表現を探索するように促すことができる。

三つ目は、体験を強制する作品だ。体験型の作品を展示すると、キャプションは時間をかけて読むのに作品の鑑賞にあまり時間をかけない人がいる。この作品は、いくつかの仕掛けによって体験を強制する。鑑賞者が作品の前を通ると、鑑賞者の顔の男二人に虐められている鑑賞者の顔の亀の画像が表示され、亀が助けを求める。助けないと自身の顔が作品に残ってしまう点と自分の顔で助けを求められる点で体験せずにその場を離れることを難しくする。

四つ目は、撮られたくない作品だ。目の前の出来事に対して、自分の目で見ることなくスマホのカメラアプリ越しに見る人がいる。この作品は、そうさせないためにスマホを向けると機能しなくなるようにしている。

五つ目は、近づかないと全貌が分からない作品だ。作品を展示すると、キャプションは時間をかけて読むのに作品の鑑賞にあまり時間をかけない人がいる。この作品は、鑑賞者が注意深く観察しようとして、かなり近づくと表示が切り替わるようにして、丁寧に鑑賞した人だけが作品の全体像が分かるようにしている。

今後の展望

私の関心が分かってきたものの、構成要素それぞれの意図を全て説明できる作品を完成させることができなかった。私の関心とテーマが近い作品や参考になりそうな書籍を調査して、作品の完成に役立てたい。また、並行して私がしていることを言語化し論文にまとめていく。



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