2024 4Q 制作ノート 安部翔太


作成日:2025.02.10

作成者: 安部翔太


背景

3年次末成果発表会に向けて「お節介なアシスタント」というアプリケーションを制作し、展示を行った。本作品は、過去に展示した作品と比較して、よりメディアの特性を活かした作品になるように意識した。

制作テーマ

本作品では、電話が与える押し付けがましさと、個人情報が多く保存されているスマートフォンの特徴をお節介な年長者と結びつけた。電話は、着信したらすぐに応答しなければコミュニケーションをとることができない。一方チャットであれば、メッセージを受け取ってから受け手の好きなタイミングで返信できる。緊急度の低い連絡を電話ですることには、押し付けがましさがあると私は考えた。また、多くの現代人が持ち歩いている電話であるスマートフォンには、個人情報が多く保存されており、それはまるで実家に住んでいる人にとっての母親のような存在だと言える。リモートワークや遠隔授業の普及により、若者は年長者との関係が希薄になった。そうした若者は、実は厚かましい年配の存在を求めているのではないかと考え、「お節介なアシスタント」を制作した。

実践内容

アシスタントは、直近の予定や健康データを元にアドバイスを行うことができる。例えば、予定が多く詰まっていればこまめに休憩をとることを勧めたり、睡眠時間が短ければ早く寝ることを勧めたりする。OpenAI の Realtime API を使用して会話機能を実現し、iOSの各種APIを通じてカレンダーの予定や健康データの取得を行った。また、着信時のUIはiOS標準の電話UIを使用した。

アシスタントのキャラクターは、私の祖母を参考にした。祖母の家に行くと、お菓子や果物などを頻繁に与えてくれた。特に帰り際には、持ち帰ることができないほど多くのものを渡そうとしてくれた。世話焼きな祖母は、奈良出身である。ゼミでアシスタントのキャラクターについて相談していく中で、関西のおばちゃんは世話焼きだという認識がゼミ生の中で共通していることが分かった。そのため、アシスタントには関西のおばちゃんというキャラクターを与えた。

展示期間中、体験者がアシスタントに対して親しみを持って接している様子を多く確認できた。また、本アプリケーションが欲しいと話してくれる人もいた。こうした結果から、共感を生む作品を制作できたと言える。一方で、会話を進めていく中で個人に寄り添ったアドバイスと関係ない話をすることがあり、解決しないといけない課題だと感じた。

今後の展望

今後は、安定してお節介なキャラクターとして振る舞うように調整していく予定だ。そのために、応答する前に生活のアドバイスと関係のない会話にそれることを防ぐ機能や、少し先の予定に向けて準備するべきことを数日前に伝える機能を実装したい。また、3月に学外で本作品を展示する際には、体験者の反応を観察したり感想を聞いたりして、作品をより良くする手がかりを得たい。



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