2025 1Q 制作ノート 本田光


作成日:2025.06.16

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作成日:2025.6.15

作成者: @hondahikaru

背景

日常生活を送る中で生きているという実感を感じることは少ない。だが自分の心臓に耳を傾けてみると「ドクン」という生々しい音が聞こえる。これは自らの中で当たり前となっている、心臓が鼓動し血液が全身に循環するという行為を改めて自覚することができるそういった生きていることの自覚をさせたいというところから作品を制作した。

制作テーマ

作品を作るにあたって、「生の可視化」というテーマを設定した。これは背景にあった自らの心拍を聞くことによって得られる自覚を聴覚だけではなく視覚をも利用し生の自覚をさせようといった狙いからこういったテーマ設定をした。

実践内容

作品を作っていくにあたって基本的にタッチデザイナーを中心として制作を行なった。「心拍」を入力とし、それをTD上でビジュアルやオーディオなどに変化を加え体験させるという形で制作していった。

まず初めにできたのが、「heartbeat」というもので心拍がなるとその心拍にあわせてRADWINPSの「全然前世」がクラッチのように再生され画面上ではハートの円環が変化していくというものができた。ただこれは自分の中にある心臓を再現したいという部分と技術面の問題がぶつかってできた作品であり、本来の生々しさや「生の可視化」といった部分からはかなり外れたものになってしまっていた。

「heartbeat」からの反省を生かしより生々しさや「生の可視化」という部分に着目しできたのが「heart visual」。生々しさを表現したいが心臓のようなものは作れないといった問題から球体に目をつけ、球体を心臓のように表現するという手法で生々しさを解決した。「生の可視化」という部分では、心拍が反応するたびに画面上の球体が段々と変化していき初めに戻るという表現をした。これは血液の循環などともかけ合わせている。

そして画面上だけで完結させていたものを生々しさという観点があるならもっと展示形式自体に工夫を与えられるという意見を踏まえて。展示形式を画面上ではなく、球体へのプロジェクションマッピングという形式へと変化させた。これをすることにより自分の生が外部で表現されている感覚や現実感といったものがより表現できるようになった。

そして完成した作品「heart visual」は自らの心拍を自らで聞くのではなく、心拍を一度外部へと主力しそれをまた自らに戻すことで「生の可視化」ができるという作品になったのではないか。

今後の展望

今後の展開としてはより「生の可視化」と「情報の加工」という二点に注目するべきだと考えている。もちろん技術的なクオリティの低さも改善すべきところだが、この作品の核である生を可視化する部分やそれは自らの情報を機械で加工するといった部分がこの作品をより表現したかったものに近づくのではないかと考える。これは今は心拍を検知すると決まったビジュアルが決まったように動くだけだが、生命というのはもっとランダムであって画一的な経験であってはいけないという点や、心拍だけではなく生命を表すものは他にも多くありそれを利用する点、もっと内面的に自らの生を自覚させるようにもっと作品にのめりこむような構造を作る点などを考えている。



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