「QUEENDOM PUZZLE」は、既存のガールズグループのメンバーや女性アーティストをパズルのように組み合わせ、最高のグローバルガールズグループを完成させるというサバイバルオーディション番組で、「カムバック戦争シリーズ」と呼ばれるサバイバル番組のシーズン5となる。既存のグループが集まりグループ同士での競争だったこれまでのシーズンと異なり、今回は個人ベースでデビューメンバーの座を争った。2023年6月中旬から8月中旬にかけて放送され、勝ち残った7名による「EL7Z UP」がデビューした。

 私がこの番組を見つけたのは、本当に偶然だった。たまたま見つけて気まぐれで見始めたら止まらなくなり、気づけば最新回まで追いついてしまっていた。
そもそも、私はこれまでサバイバルオーディション番組をしっかり見たことがなく、もちろん放送をリアルタイムで追いかけるというのもこの番組が初めて。そんな私が、ステージ映像や楽曲を何度も視聴し、しっかり推しも見つけて最終回の生放送をリアルタイムで見届けるまでにどハマりしたのには、この番組シリーズの特徴である、「プロによるサバイバル番組」という点が大きく影響しているのではないかと思う。

 この番組は、事務所の練習生やアイドルを目指す若者から新たなグループをデビューさせるのではなく、すでにデビューしているグループのメンバーやグループでの活動経験があるアーティストを集め、メンバーを組み合わせてグループを再構築するという珍しい形式をとっていた。参加者は芸歴も年齢もバラバラ。K-POPファンなら一度は名前を耳にしたことがあるような人気グループのメンバーや、日本で活動していたアイドルも参加している。
新しいコンテンツに手を出すのは少々気後れしてしまうところもあるが、「参加者に知っているアイドルの名前がある」ということが、番組を見始める後押しとなってくれた。そこからそれまで知らなかったアイドルの子や、名前は知っているけど…というグループのメンバーを知るきっかけにもなった。

 「プロによるサバイバル番組」という形式が自分にしっくりきたと感じた1番の要因が、参加者の番組出演前後の活動を追いやすいという点。
番組を視聴していて気になった参加者がいた場合、番組出演以前のコンテンツを辿ることができる。私の場合「この子あの曲のグループか!」と、知っていた曲に結びついたことがあり、顔も名前も知らなかったのに一気に親近感を覚えることができた。

 そして何よりも大きかったのが、脱落してしまいデビューに一歩届かなかった…という参加者のその後も追いやすいという点。
事務所の練習生を集めるタイプのサバイバル番組では、番組でデビューできなかった参加者は練習生に戻ることとなる。貴重なデビューの機会を失うだけでなく、世間の目に触れる機会が一つ減ってしまう。番組を通じてファンになった視聴者は多くの場合、見えないところでデビューを目指して励んでいることを信じて待つことしかできなくなってしまう。
それに対しこの番組のシステムでは、言ってしまえば脱落しても基本的には元々の活動に戻るだけ(“だけ”という言い方もどうかと思うが)。番組終了後も、所属するグループやソロでの活動は続いていく。
この番組に関して言うと、認知度や注目度が上昇したこの機を逃すまいと、番組終了直後にカムバック(新曲リリース)を予定していたグループも多く、番組を通じて知った参加者を番組終了後に再び見つけるための、見失わないためのレールがしっかり用意されていた。

 知らなかったグループ/メンバーを知るきっかけにもなり、番組終了後も供給が絶たれることなく推しを引き続き応援し続けることができるというところが、一般的なオーディション番組にはない点だと感じた。

 そして、1つのコンテンツの中でたくさんの楽曲やコンセプト、パフォーマンスを見られるのが純粋に楽しかったという点もハマった要因だ。同じ楽曲の衣装やヘアメイク違いのステージ映像を片っ端から見るのが好きな私にとって、楽曲数×人数分の素敵なスタイリングが見られるのは最高以外のなにものでもない。

 また、参加者の全員がデビューを掴み取るほどの実力を持ち合わせたアイドルであるため、パフォーマンスや魅せ方が上手くて見応えがある。「最高の組み合わせのパズルを組む」という番組のコンセプトもあって様々な組み合わせが見られるし、そのメンバーが集まったことを活かした満足度の高いステージが作り上げられていて飽きることがない。

 これらのステージが、アイドル自身が魅せたい自分たちの姿を表現するために、コンセプトから楽曲のアレンジまで意見を出して作り上げられているという点が個人的に刺さった。短期間で数多くのステージをこなさなければいけない状況下にも関わらず、一つ一つに真摯に取り組んでいる様子からプロ意識が感じられる。

ということで、ここで私的推しステージ5選をご紹介。(5つに絞るのが限界でした…)

[Cover]「Time of Our Life」原曲:DAY6
(Shiroma Miru, Park Soeun, Elly, Chaerin, Hwiseo)

「時をかける少女」をモチーフに、青春を感じさせるような爽やかで疾走感のあるステージが見ていて楽しい! メンバーの歌唱力も光るパフォーマンス。

[Cover]「Fighting」原曲:BSS(SEVENTEEN)
(Soojin, Elly, Yuki, JooE, Juri, Jiwoo)

ステージの上のオフィスで繰り広げられるミュージカルのような演出が特徴的。パフォーマンス終盤ではメンバーが書いた多種多様な理由の辞表が銀テープのように会場に降り注ぎ、観客を巻き込んで盛り上がりを見せています。

「BAD BLOOD」(NANA, SANGAH, SUYUN, Yeeun, WOOYEON,Kei)

マイクを持たず、ダンスを魅せることに特化したステージで披露された楽曲。ライターからロウソクに火をつけるパフォーマンスやフォーメーションなど高難易度の振り付けが連続し、本番に限ってミスしてしまったものの、あまりにカッコよすぎて一番印象に残っています…。

「Last Piece」(DOHWA, Elly, YEOREUM, Yeeun, JURI, JIWOO, HWISEO)

「Billionaire」(NANA, SUYUN, YEONHEE, WOOYEON, YUKI, Jihan, Kei)

デビューメンバーが決定する番組の最終回で、勝ち残ったメンバーによって披露した2曲。ベクトルの違うかっこよさが溢れる、番組のラストを飾るのにふさわしいステージです。生放送でこのクオリティをやってのけたのが本当にすごい…。


 3ヶ月弱という短い期間でたくさんのアイドルや楽曲と出会い、番組が進むたびにドキドキして一喜一憂して…というすごく濃い時間を過ごした気がする。今まで触れてこなかったサバイバル番組というコンテンツの魅力も体感することができ、食わず嫌いは良くないなと痛感することになった。
推しを見つけてサバイバル番組を追いかける楽しさを、感じてみてほしい。アイドルは好きだけど、しっかりサバ番を見たことはなかったな…という方には、はじめの一歩としてこの「QUEENDOM PUZZLE」というコンテンツをおすすめしたい。


(ちなみに私の最推しは見事デビュー圏内に残ったので、なおさら楽しかったです…!)