正直なところ、私は全く食に対する欲がないのです。もちろん好きな食べ物、嫌いな食べ物はあるけれど「何が食べたい?」と尋ねられると、特に食べたいものがないので困り果ててしまいます。優柔不断で、食べたいものに迷って答えが出せないのではなく、どれだけ頭をひねっても食べたいものが思いつかない。コンビニでもレストランでも、どこに行っても「私は何が食べたいんだ?」と答えがなかなかでないので、決めるのに時間がかかってしまいます。さらに、胃が極端に小さく、茶碗一杯のごはんで満腹になってしまうので、出されたごはんを完食できないことが多いのです。(もちろんこれにより、頻繁にお腹が空くから本当にコスパの悪い胃!)そして一人暮らしをはじめ、お腹が空いても食べるものを決めるのがめんどくさくて同じものを食べ続けたり、食べきれる自信がなくて食べない選択肢をとってしまう、最低な食生活を過ごしていました。(今はもりもり美味しいものを食べているので、ご心配なく♡)

そんな私でも、映画やドラマで美味しそうな食べ物が出てくると、お腹が鳴るほど惹かれることはあります。なかでもやっぱり、何回見ても魅力的だなと思うのが”ジブリ映画にでてくるご飯、通称“ジブリ飯”。新しい作品が公開されても、「金曜ロードショー」で繰り返し放送されても、ジブリ映画の食事シーンで話題は持ち切りですよね。YouTubeでは、そんなジブリ飯を実際に再現してみたというコンテンツが何年にも亘り人気があります。数ある再現レシピのなかで、わたしが何度も見返してしまうほど“美味しい魅力”の詰まった、お気に入りの動画をご紹介します。

「魔女の宅急便」かぼちゃとニシンのパイ

幼少期から大好きな「魔女の宅急便」。この映画は、ジブリのなかでも特に食べ物の描写が多い作品で、一番有名なのがこの“かぼちゃとニシンのパイ”です。キキが大雨の中、大事にお届けしたかぼちゃとニシンのパイを、受取人の女の子は「わたしこのパイ嫌いなのよね」と言い放つシーンが印象的です。大きなオーブンでじっくり焼き上げていて、こんなにも絶妙な焼き加減だからさぞ美味しいのだろうと思っていたけど、女の子のその一言で、実はそんなに美味しくないパイなのかな?と何度もこのパイの味を想像しました。

フライパンや食器もレトロなデザインのものを使うだけで、映画の世界観にぐっと近づいて見ているだけでわくわくしてしまいますよね。パイの表面にいるお魚の再現率も高く、手順を見ているとこんなにも手間暇のかかるパイなんだと愛情を感じます。こんなに美味しそうなさくさくとしたパイを切る音を聞いていると、居ても立っても居られない!

「魔女の宅急便」チョコレートケーキ

甘いものが大好きな私にとって、はずせない「魔女の宅急便」のチョコレートケーキ。かぼちゃとニシンのパイを焼いたおばあさんがキキにプレゼントしたものです。「キキという名前の女の子」にお礼のケーキを運ぶようおばあさんがキキにお仕事として依頼するシーンで登場しますが、この渡し方を選んだおばあさんが本当に素敵で心が温まります。ケーキに自分の名前のプレートやデコレーションがされていると、自分のために作られたケーキであることが一目で伝わって嬉しくてたまりませんよね。

キキとジジがほうきに乗ったシルエットのチョコレートプレートをこんなに簡単に作り上げてしまうなんて…と初めて見た時は驚きました。何層にも重なったチョコレートのスポンジとクリームだけでも幸福感たっぷりなのに、艶々のチョコレートコーティングがかかると魔法のように、何百倍も魅力的なチョコレートケーキになります。とろけたチョコレートが落ちていく描写が大好きなのですが、これは作る過程でしか見られないのでとっても貴重。書いている今でも、チョコレートケーキが食べたくなってきてしまいました。食べ物の描写ひとつで、想像を大きく膨らませてくれるジブリ飯。見ていると食べたくなってしまう、あなたのとっておきのジブリ飯は何ですか?

(ジブリの作品の静止画像はこちらからお借りしました。)