最近の音楽シーンは、流行の移り変わりがとにかく早く、ぼーっとしていると置いて行かれてしまいそうになる。私はハマった1曲を飽きるまでとにかく聴き続けるタイプであるため、今まで流行に追いつけたことがほとんど無かった。ましてやその一歩先を見据えるなんてもってのほかだった。しかし、大学生になりCD屋でアルバイトを始めてから、近いうちに爆売れしそうなアーティストの情報が常に周りを飛び交うようになった。おかげで沢山の曲に出会い、私は今充実した音楽ライフを送れている。そこで気がついたのが、この世にはあっと驚くような才能を秘めているアーティストがゴロゴロ存在しているということだ。

 そこで今回は、今後きっとこの人たちはブレイクするだろう、いやしないと可笑しいと言いたくなるようなアーティストを紹介する。だが、思い浮かぶ例が多すぎて挙げ始めたらキリがないと感じたため、Spotifyのプレイリストを作成した。まずはこれを見てみてほしい。

 ここには20曲弱入れているが、この中でも特に注目すべきアーティスト5組を取り上げ、今からその魅力を紹介する。最後までお付き合いいただけると有難い。


サバシスター

 これからくるであろうアーティストで外せないのは、やはりサバシスターだろう。2022年結成の3ピースガールズバンドで、陸上選手もびっくりの速度でブレイクを果たした。邦ロック好きの若者なら、一度はその名を聞いたことがあるのではないか。そんなサバシスターは、日テレ系「バズリズム02」の名物企画である『コレがバズるぞベスト!BEST10』で、今年度の第1位に選出された。誰もが納得の順位である。
 このバンドは何もかもが個性的で、唯一無二なところが最大の魅力。楽曲だけでなく、結成方法まで他のアーティストとは一風異なっている。メンバー集めにジモティーを利用したと、どこかの記事に書いてあるのを見た私は思わず「えぇ!?」と声をあげてしまった。いくらなんでも斬新すぎる。「地元の掲示板 ジモティー」でお馴染みのこのシステムは、選択した範囲の地域で不用品譲渡ができるというものである。それでバンドメンバーが見つかるものなのか。便利な時代になったものだ。
 めでたいことに、サバシスターは3月8日の”サバの日”にメジャーデビューを控えている。今、日本で1番ノリに乗っているバンドといっても過言ではない。


Chevon

 2021年突如現れたスリーピースの新生バンドChevon。なんといってもボーカルの癖になる歌声がたまらない。初めて聴いたとき、「こりゃとんでもない人たちが出てきてたな」と戦慄したのが記憶に新しい。Chevonファンの友人にその魅力を尋ねたところ、「メロディやリズムの独特な取り方が癖になる。歌詞も、韻の踏み方と語彙力が気持ち良く、曲それぞれのテーマに沿った世界観が楽しい」との返答をもらった。それに加えて生歌もとんでもなく上手いらしい。なんてこった、完璧じゃないか。刺さる人には心臓の奥底まで深くブッ刺さりそうだ。
 以前ボーカルの谷絹茉優が路上ライブをした際には、大勢のファンが押し寄せたらしい。この歌唱力が世間に見つかりつつあるということか。この例からもわかる通り、Chevonは昨年あたりからじわじわと人気が上昇しており、今後の動向が見逃せないアーティストなのだ。なんと、来月21日にはファーストアルバムの発売も予定している。ハマるなら今しかない。


ピーナッツくん

 ピーナッツくんは2017年に活動を開始した個人勢Vtuberである。持ち前のエンタメ精神はさることながら、ラップのセンスが抜群なのだ。「刀ピークリスマスのテーマソング 2022」が昨年TikTokで大バズりしたため、聴いたことのある人もいるのではないだろうか。現状2022年バージョンのみ知名度が独り歩きしているが、2020年から毎年クリスマス後に投稿されており、既に4曲世に出ているので併せて聴いてみてほしい。
 ちなみに、私のおすすめ曲は「グミ超うめぇ」だ。3分弱ずっとただただグミが美味しいという事実だけを歌い続けている曲なのだが、聴いていて全く飽きがこない。なぜ食べ物の感想だけで1曲作れるのか意味がわからない。すごいとしか言いようがない。ピーナッツくんのグミへの莫大な愛情が伝わってくる、そんな曲だ。


離婚伝説

 一度聞いたら忘れられないネーミング。なんて抜群なセンス。私にも少し分けてほしい。そもそも離婚伝説とはどんなグループか説明すると、今月で結成わずか2年の2人組バンドだ。なんと、音源だけでなく映像もセルフプロデュースで行っている。まずは初めて公開したMV「愛が一層メロウ」を観てみてほしい。どこか懐かしさを感じるメロディはドライブにぴったりだ。そして何より歌詞の語感が心地良すぎる。サビに「愛が一層メロウ…」のリフレインが組み込まれているのだが、8回目だけ語尾が上がり、ドラムのフィルインのような役割を果たしている。CDは生産中止となってしまい今や入手困難なため、今後リリースの情報が出た際はすぐにチェックしてみてほしい。


礼賛

 お笑い業界で名を馳せるラランドのサーヤが、作詞作曲とボーカルを務めているバンド。メンバーにはなんとあの川谷絵音もいる。その道のプロフェッショナルが集ったグループだ。ヒップホップバンドということもあり、楽曲内で次々と踏まれる韻が気持ち良い。何故か耳に残りやすい言葉選びとそのメロを聴いていると、いつの間にかCLR(サーヤ)のマルチな才能の虜になっていること間違いなし。
 これは私の主観だが、礼賛の曲はほろ酔い状態で歩く深夜の散歩道で流すと最高なのではないかと感じている。だがしかしフェスやライブ会場で聴く礼賛も、それはそれで違った楽しさがあって良い。なんにせよ、もっと多くの人に聴かれてほしい。



 いかがだっただろうか。ほとんどが邦楽ロックでジャンルの偏りすぎ感が否めないが、皆さんの心に刺さるアーティストを見つける手助けになっていれば幸いである。
 私が喫茶ユヌパージュでしっかりと文章を書くのはきっとこれが最後なので、心なしかこの記事にいつもより気合が入っているような気がする。その熱量が皆さんにも伝わっていたら嬉しい。