いつのまにかミントタブレットが手放せなくなっています。理由は口臭予防でも空腹対策でもなく、ただただ眠気防止のため。仕事が終わらず眠い、寝ても寝ても眠い、慢性的に眠い、そんな時にミントタブレットを一粒噛むと一瞬で目が覚めます。

 今でこそ「ミンティア」「フリスク」など様々なフレーバーのタブレットがコンビニのレジ近くにズラリと並んでいて、日本でもすっかりポピュラーなお菓子になっていますが、90年代前半くらいまでは日本ではまだほとんど一般的ではなく、子供向けの「ラムネ」「ヨーグレット」などの大人版という印象でした。その認識が変わったのは、初めて海外に行った時のことです。ロンドンのコーヒーショップで、マッチのような小さな箱がさりげなくレジ横に積まれているのを見て、ミントタブレットがコーヒー好きの必携アイテムであることを初めて知りました。コーヒーとミントタブレットは食後のひとときにかかせない、口の中が「スッとする」アイテムだったのです。

 ただ、タバコも吸わない、コーヒーもあまり飲まない私は、口の中を「スッとさせたい」さしたる理由もなく、試しにニューヨークのコーヒースタンドで小さなミントを買ってはみたものの、辛くてとても食べられたものではありませんでした。ちっちゃな缶の入れ物が欲しくてつい買ってしまったため、全部を食べ切るのに1ヶ月くらいかかってしまうという有様。それ以来、ミントタブレットのパッケージ目当てで色々と買ううちにすっかりドライなミントも口に馴染んでしまった、というわけです。

 ちょうどその直後くらいにアメリカはシアトルで誕生した「スターバックス」が日本に上陸。「アフターコーヒーミント」が店先に置かれることが増えました。その後も「タリーズ」では少し粒が大きめで柔らかい「ヒントミント」の扱いが始まり、「ディーン&デルーカ」では「チョコレートミント」も登場するといった具合に、外資系チェーン店のオリジナル商品が日本にも入ってくるように。それらのほとんどが可愛い小さな缶に収まっていることから、ついつい手がのびてしまい、とうとう輸入食品店などで見たことのないミントを探す毎日。挙げ句の果てには、すっかり家の中は中身が空っぽになったミント缶だらけなってしまったのでした。

 そんなミントタブレット(の缶)好きの私が気に入っているミントタブレットがこれです。東京駅に併設されている「東京ステーションホテル」で販売されているオフィシャル・グッズで、白い缶ケースにホテルのロゴがエンボス加工されているシンプルなデザインがとても洒落ています。ケースの大きさは「ミンティア」などに比べると小さく、手のひらに収まってしまうほど。缶自体はオリジナルですが中身はアメリカ産の小粒ミントで、正直なところ、味はどうということはないんです。でも、これに出会ってからというもの、中身がなくなれば、コンビニで「ミンティア」を買ってこれに入れ替える、という面倒臭い作業を繰り返しています。そして、ミントタブレット・ジプシーを続けているうちに、いつのまにか、ミントは疲れた体の眠気覚ましにちょうどいい、ということに気づいたのです。

「東京ステーションホテル オリジナル ペパーミントタブレット」500円(税込)