12分23秒

機械仕掛乃宇宙は12分23秒という長い楽曲の中に散りばめられた物語。この楽曲は主にギターをメインとしたいわゆるジャズに近い曲調で時間を忘れさせてくれるメロディを彼女の強弱のある歌声で奏でていく。
楽曲についてもう少し見てみると似ている歌詞が多く綴られており、歌声で変化をつけることによって物語性を作り出している。その変化によって一般的な長さの楽曲より長くなっていても成り立っているのだ。
この楽曲の原曲制作者は山田庵巳さんという方が制作しており、それを特徴的な歌声を持つ青葉市子さんが歌っている。実際にこの楽曲の2人の歌い方などを比較してみると互いに個性の出る部分が見受けられる。
原曲制作者でもある山田さんはこの楽曲の物語において自分自身が入ってきているかのような歌い方をしている。
一方で青葉さんは物語においての第三者から語りかけているかのような歌い方をしている部分がある。この楽曲の場合、始まりの部分が少し早いテンポになっている部分があり、そういった所は山田さんと似ているところもある。それは青葉さんの尊敬している人物が山田さんだからこそ影響を受けている部分もあるのだろう。
2人のどちらが正解というものはないが、「楽曲のタイトル」という視点から見ていくと宇宙のような神秘的な歌い方をしている青葉さんはある種一致している部分があるようにも捉えることができる。
実際に青葉さんの歌う機械仕掛乃宇宙を聴いてみると同じ歌詞でも最初にも述べたような強弱のつけ具合や息の吐く量によって変化をつけているところがよく見かけられる。
中でも注目していただきたいのは7分21秒から歌われている「機械仕掛けの宇宙は回り続ける」の部分だ。1回目の部分では一定のメロディに対して青葉さんの綺麗な高音が滑らかに歌われている。
しかし、9分51秒からの2回目の部分では1回目と比較してテンポが下がると同時に青葉さんの歌声も少し枯れたような歌い方から元の高音へと変化しているのがわかる。その際に1回目よりも息を吸う音が鮮明に聴こえるような変化があるのだ。
そんな青葉さんは過去に対談にて自分の声についてあまり考えていないらしく、ギターの弾き語りが主体となって完成している部分があるということについて述べていた。特徴的な歌声を持つ彼女がそのように述べているのはギターのメロディの変化を同じように歌声でも変化し、表現しているからなのだろう。