機械仕掛乃宇宙

今回私がレビューする楽曲は青葉市子さんの「機械仕掛乃宇宙」という楽曲だ。
この楽曲はギターと歌声だけとシンプルな構成で演奏されており、楽曲の長さは驚きの12分23秒。この長さにも関わらず、気が付けばあっという間に12分が過ぎており、この楽曲の世界観に聴き入ってしまう。というのもこの楽曲には様々な顔色を持っており、曲と共に進行する物語のような、まるでミュージカルを観ているかのような、そんな気分に陥ってしまう。
もちろん物語調で進行していく楽曲だが、その壮大さにも注目していただきたい。
太陽が昇らない街で一人ぼっちで街の誰からも蔑まれて暮らす少年が何者かに恋をする。という冒頭から始まる少年視点で描かれる物語だ。
少年の気持ちの変化に合わせて曲調もガラッと変化し、物語の進行具合が音を通じて聴き手に伝わり、起承転結がしっかりしてる点もすごく魅力的だ。
この楽曲の本家は山田庵巳さんという方で、それを青葉市子さんがカバーしている形となっている。
山田庵巳さんが歌う「機械仕掛乃宇宙」は男性の声からは想像できないような優しい声で語り口調で歌われており、それはそれで素晴らしい。だが、私は透き通るような歌声と心地良い優しいギターの音色に、細かく調整された息づかい、まるで魔法にかけられたかのような、天性の表現力を持つ青葉市子さんが奏でる「機械仕掛乃宇宙」が好きだ。本家にも通じて言えることだがギターと歌声だけでここまで壮大な世界観を表現できるアーティストは私は今までに聞いたことがない。
どのような生き方をすればこのような演奏ができるのだろうか。
青葉市子さんは過去のインタビューにおいて幼い頃にピアノを習っていたが「正しく弾く」ということが出来ず2週間で辞めてしまい、我流の方が上手に弾けたそうだ。ギターも同じく、弾き方の入門書を買ったが結局、我流の方が上手に弾けたとのこと。
元から普通に生きる人とはどこか異なっており、独自の世界観や価値観を築いていることから演奏においても豊かな表現ができたのかと思う。
今回このレビューを書くのにあたって初めて青葉市子さんの楽曲を含め、「機械仕掛乃宇宙」を聴いたが、演奏時間や演奏スタイル、楽曲の進行具合など、今までに聴いたことのないジャンルで新鮮味があり、気が付けば私は「青葉市子」という人物にすっかり虜になってしまった。