人はなぜホラーが好きなのか?

世の中にはホラー好きとホラー嫌いがいる。わたしはどちらかというと後者なので、実は良くわからないのだが、ホラー好きは人間好きが多いとなんとなく思っている。なぜか?

わかりやすくいうと、それは、ホラー作品が人間の感受性や想像力の強烈な肯定だからである。当たり前だが、霊魂や吸血鬼やゾンビは、科学や技術によって説明できない。眼の前にあるものをそのまま(客観的に)写してしまう写真という技術が発明されたとき、同時にすぐさま発明されたのが心霊写真だったように、ホラーというのは最初から近代機械文明に対する人間的な抵抗なのである。

いち早く近代化・産業化の進んだ西洋では、非の打ち所のない科学技術に対抗するために、庶民の間に伝わる迷信や言い伝えに注目が集まった。公式言語だったラテン語の傍らで、人々の間で話されていた俗語(ロマンス語)の物語が見直され、そうした俗話を題材にした芸術運動が盛んになった(なのでこれを「ロマン主義」と呼んだりする)。例えば科学の力で死体を生き返らせる博士が登場するM・シェリーの『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』(1818年)や、ヨークシャーの荒野を結ばれなかった男女の亡霊がさまようE・ブロンテの『嵐が丘』(1847年)などがそうだ。

文学史に残るこれらふたつの大作が、両方とも女性の手によって書かれた(そして、女性だとバレないように匿名で出版せざるを得なかった)ことも重要だが、これらが書かれた頃、イギリス中・北部の織物工業地帯では、新しく導入された織機などの機械を破壊する「ラダイット運動」が巻き起こっていたことも覚えておいてよいだろう。

インターネットや生成AIが話題となり、希望と戦慄の入り混じった「技術的特異点(シンギュラリティ)」という言葉が強い現実味を持ち始めた現代社会において、ホラーは変わらず、人としていきたいという人の願いを受け止めきれるのだろうか?

ちなみにわたしは人間嫌いなんでホラーも嫌いです。

安田昌弘(お手伝いさん)

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お手伝いさん。好きな果物は檸檬。

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